落語「みそ豆」の舞台を歩く
六代目三升家小勝の噺「みそ豆」によると。
落語には沢山のオチがあり、そのオチにも分類があってその幾つかをお話します。
回りオチ
猫の子を貰ってきた。みんなで強いネコらしい名前を考えてくれ、と頼んだ。だったら「トラ」が良いんじゃないか、猫らしい良い名前だ。でも、竜虎と言って「リュウ」が強いぞ、いや龍より「クモ」の方が強いぞ龍は雲に乗ってくるから、いやいや雲より「カゼ」の方が強いぞ風で雲を飛ばしちゃうから。風より「カベ」の方が強い、風を通さないから、いや壁より「ネズミ」の方が強い、穴を開けるから。ネズミより「ネコ」の方が強い。だったらこの猫「ネコ」と名前を付けよう。トントンオチ
「丁稚さん、チョットお尋ねします。金比羅さんの縁日はいつですか」。「あれは5日か6日でしょう」。
「どうしてそんなデタラメを教えるんだ。縁日は9日、10日だ。教え直しておいで。」
「仕事が増えちゃった。そこ行く人!・・・さっきの人!・・・名前が分からないからなぁ〜。さっきの5日6日の人ぉ〜」、「なのか(7日)ようか(8日)」、「9日10日」。とんちオチ
定吉がみそ豆が煮えたかどうか見てみろ、と言われたので熱くてよく分からないと食べていた。小僧はそこから離れられないので用事に出した。ご主人も味見をすると止められなくなったが、小僧が帰ってきた時に示しが着かないので、何処か食べる適当な所がないかと考えた。個室の便所で食べる事にした。
そこに帰ってきた小僧はご主人が居ない事を幸いにみそ豆をつまみ食い仕始めた。でも食べている所を見つかると大変なので、何処か適当な所はないかと考えたら、便所が浮かんだ。
心浮き浮き便所に行くと、ご主人が居たので、思わず・・・「お変わりをお持ちしました」。
1.ネコ
噺の中で、今まで
飼っていたネコは弱くて早死にしたり、居なくなったりしていたので、強くなるように、名前を考えてほしいと仲間連中に聞きました。
その猫について。
左の絵は後藤六郎の版画「猫と鳩」です。強いですね。
「草臥(くたびれ)を母とかたれば肩に乗る
子猫もおもき春の宵かも」 長塚 節
「時ありて 猫のまねなどして笑ふ
三十路の友のひとり住みかな」 石川 啄木
日の目を見る事もなく当時不治の病と言われた結核で、33歳で夭折した後藤六郎と、人生半ば35歳で不燃焼のまま同じ病で客死した長塚節(たかし)と、26歳で
亡くなった石川啄木。悲しいものがありますが、強い名前で乗り切りましょう。もっともっと長生きしてほしかった。猫も人も。
長塚節は正岡子規の門下生伊藤左千夫と並び双璧といわれた。作風は官能的な匂いが無く、気品と冴えがきわだっていた。石川啄木の猫の歌は、どこかもの悲しいと言われる。
2.金比羅(こんぴら)さま・金刀比羅宮・琴平神社
全国の金比羅さんは、約800社以上を数えます。その名称は金刀比羅神社・琴平神社などさまざまですが、御本社といわれるのは”讃岐の金比羅さん”として親しまれている香川県琴平町鎮座の金刀比羅宮(ことひらぐう)です。
御祭神は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)と大物主神(おおものぬしのかみ)。大物主神は、大国主神(おおくにぬしのかみ)の和魂(にぎみたま、注)といわれます。
注; 人間と同じように、神の側面にも荒魂(あらたま)と和魂(にぎみたま)があります。
荒魂は神の持つ荒ぶる側面、怒りの側面、神のたたりを及ぼす面、天変地異を起こし荒れ狂う面があり、古くはこの怒りを鎮める為に供儀を行い供物をささげ祭りを行ってきました。
その逆に、和魂は神の優しく愛情に満ちた側面で、人はこの和魂に仕えこの愛を感じ幸福を祈ってきた。その和みの神様を祀ったのが金比羅さんです。
■金比羅坂;目黒の総鎮守大鳥神社横の目黒通りは、南西へ上り坂となっている。金比羅坂で、明治の初めまで大鳥神社西側の丘に金比羅さまが鎮座していたため、門前の坂にその名がついた。
『江戸名所図会』にも「金比羅大権現」(高幢寺)とあって「祭る所諸州象頭山金比羅神と同じ。当社を以って御城南鎮護神と称し奉れり・・・・」と記されてい
ましたが、今はありません。
■金刀比羅宮 http://www.konpira.or.jp/menu/master/menu.html
| 御祭神 | 大物主神・倉稲魂神(うがのみたまのかみ) |
| 御鎮座地 | 東京都文京区本郷1ー5ー11 |
| 例祭日 | 5月19・20日 |
| 年間祭典 | 1月10日:初十日祭 2月3日:節分祭(佐渡ヶ嶽部屋の力士による豆まき) 10月10日:本宮祭(江戸神楽奉納) |
| 縁日 | 毎月10日のみ |
| 交通アクセス | JR「水道橋」下車〜徒歩5分 都営地下鉄三田線「水道橋」下車〜徒歩3分 |
■虎ノ門金刀比羅(ことひら)宮 06年9月追記。
讃岐丸亀藩主京極高和が領地・讃岐の金刀比羅大神を、万治3年(1660)に三田の江戸藩邸に邸内社として勧請、その後延宝7年(1679)の現在の虎ノ門に移る。金比羅人気が高まった文化年間に京極家では毎月10日に限り一般の参詣を許し、大変賑わった。
社殿は権現造りで、戦災で焼失したが、拝殿、幣殿の部分は昭和26年(1951)に再建された。ともに総尾州檜造り、銅板葺きです。日本最初の建築史家、伊東忠太設計校閲による建物で、我が国古来の建築技法が随所に用いられている。
なお、幣殿の奥の本殿は、昭和58年(1983)に再建されたもので、鉄筋コンクリート造り、銅板葺きとなっている。(東京都生活文化局の説明看板から)
御利益は、五穀豊穣、殖産興業、大漁満足、海上守護の上に、招福除災家門繁栄が多大であると言われる。
| 御祭神 | 大物主神 |
| 御鎮座地 | 東京都港区虎ノ門1ー2−7 |
| 例祭日 | 10月9・10日 |
| 縁日 | 毎月9・10日のみ |
| 交通アクセス | 地下鉄銀座線「虎ノ門」下車〜徒歩1分 |
3.みそ豆
米子の民話から
…昔、ある寺に和尚さんと小僧さんがおこったげな。ある日、2人はみそをつくろうと思うて、大きななべに豆をえっとこ煮たてぇもんだ。2人とも柔らこうに煮えたみそ豆が食べとうてな。豆が煮えると、和尚さんは大きな茶碗に山盛りにみそ豆を入れて、小僧さんに見つからんようにこっそり食べよう思うて、どこで食べるか考えた。そうだ、センチ(便所)なら見つかるまい。和尚さんは臭いのを我慢して入った。
ところが、小僧さんは小僧さんで和尚さんに見つからんように、みそ豆を食べる場所を考えて、これまたセンチに入った。見ると、先客の和尚さんが美味そうに食べとる最中だ。小僧さんは、慌てて自分が持っていた茶碗いっぱいのみそ豆を和尚さんに差し出いて「ハイ和尚さんお代りを持ってきました」と言ったげな…
味噌は、水に漬けふやかした大豆を煮て柔らかくしたものに麹を混ぜ、塩を加えて
寒い時につくると、雑菌が入らないので美味い味噌ができました。お互いに自分の家の味噌を自慢しました。「手前味噌」です。調味料であり、副食物であり、貴重なたん白源でもありました。
米子市ホームページより http://www.yonago-city.jp/minwa/minwa070.htm
みそ豆とは味噌を造る前の美味しく煮えた大豆の事です。東京下町でも、つい50年位前までは豆腐や納豆のように売りに来ていたものです。好みによって、溶き和芥子、お醤油、刻んだネギなどを入れて食べると、食事のおかず、酒の肴になります。昆布と混ぜた、昆布豆は何処かで食べた事があると思います。
ですから、これは何もお味噌で豆を煮たものではないのです。
みそ豆の味の良さを褒めている言葉に、「みそ豆は七里返りても食え」という諺があります。その旨さから、定吉もご主人もみそ豆から離れられなかったのでしょう。
舞台の東京金比羅さんを歩く
「♪こんぴら船々 追風(おいて)に帆かけて シュラ シュ シュ シュ 廻れば四国は讃州那珂の郡(なかのごおり)象頭山(ぞうずさん)金比羅大権現 一度廻れば・・・・・」
あのサルサにも負けない軽快でダイナミックなリズムの民謡「こんぴら船々」で知られる、讃岐の「こんぴらさま」は、庶民的な、とっても気さくなお社です。ちょっと、スゴイ所です。トータルで1368段の長い長い石段でも有名です。高く長い石段は、人生と同じあわてず、ゆっくりと登りましょう。「しあわせさん。こんぴらさん」。
金刀比羅宮のコピーから
ここは、讃岐の「こんぴらさん」の分社ですから、本社のイメージがポスターと共に掲示されています。都会のど真ん中にある神社ですから、本来は回りの駐車場やビルもここの土地だったのでしょう。今は最低限の敷地の中にお社と会館が建っています。会館では結婚式も出来ると書いてあります。
アッと、大事な事を忘れていました。社務所で聞きました。金比羅さんの縁日は9,10日ではなく、10日だけだそうです。虎ノ門金刀比羅宮では9日10日。
この前の道路は一方通行の狭い道ですが、1本表に出ると後楽園ゆうえんちがあって終日若者や家族連れで賑わっています。ここには巨人軍の本拠地、東京ドームや、天然温泉のスパラクーア、ホテルなどがあります。
後楽園ゆうえんちと書きましたが、今は洒落た名前の「東京ドームシティ アトラクションズ」と言います。
http://www.tokyo-dome.co.jp/cgi-bin/schedule/User/attractions/schedule-attractions.cgi 東京ドームシティ
しあわせはこんぴらさんと遊園地、競馬の場外馬券場では夢も買えます。
| 地図 |
| 写真 |
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2006年5月記
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