落語「安産」の舞台を歩く
三遊亭円生の噺、「安産」(あんざん)
■梅の宮さま;梅宮大社。京都市右京区梅津にある元・官幣中社。祭神は酒解神(サカドケノカミ)・大若子神(オオワクゴノカミ)・小若子神(コワクゴノカミ)・酒解子神(サカドケゴノカミ)。橘氏の祖神で、諸兄(モロエ)の母が初めて祭った。酒造の神、子授け・安産の神として信仰されている。二十二社のひとつ。
■粂野平内濡仏;久米平内・粂平内(くめのへいない、1615?~1683)享年六十八。右図:粂野平内、豊国画 クリックすると大きくなります。
■尻食らえ観音(しりくらえ_かんのん);尻暗観音=六観音の縁日は陰暦18日から23日までで、その後はだんだん闇夜になる意からという。暗い夜。暗夜。六観音:六道の世界に輪廻する衆生を済度する6種の観世音菩薩。日本の天台宗で伝える密教では聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・不空羂索(ケンジヤク)観音・如意輪観音の諸菩薩。空海を祖とし、東寺を本山とする真言密教では不空羂索のかわりに准胝(ジユンデイ)観音を挙げる。
■成田山(なりたさん);成田山新勝寺(なりたさん_しんしょうじ)。千葉県成田市にある真言宗智山派の寺であり、同派の大本山のひとつ。本尊は不動明王。関東地方では有数の参詣人を集める著名寺院で、家内安全、交通安全などを祈る護摩祈祷のために訪れる人も多い。不動明王信仰の寺院のひとつであり、寺名は一般には「成田不動」あるいは単に「成田山」と呼ばれることが多い。初詣客数は2006年では275万人、2007年は約290万人と、明治神宮に次ぐ全国二位。
■水天宮様;福岡県久留米市瀬下町にある元県社。舟人の守護神として尊信が篤い。全国の水天宮の総本社。東京では日本橋蠣殻町二丁目4・水天宮前交差点角(現在改築中で中央区日本橋浜町二丁目30に移転)にある神社。文政元年(1818)久留米藩主有馬頼徳が前記の分社として勧請したのに始まる。安産・子授け・七五三・初宮・芸能祈願・水難除けなどのご利益で知られています。
明治東京名所図会「水天宮」 山本松谷画
■能勢の黒札;(東京都墨田区本所四丁目6)能勢妙見堂。日蓮宗大坂能勢妙見山の能勢妙見堂(のせみょうけんどう)の別院が、安永3年(1774)に能勢氏の江戸の下屋敷に建立され、魔除け札である「能勢の黒札」は江戸の町で大いに流行した。これは、災厄を防ぎ、福運を招く霊験があるとされ、毎年4月15日にだけ授与されるお守札「魔除けの黒札」は、身に着ける事で厄災から逃れられるといわれています。
ただし、妙見堂が直接出す札ではなく、山門を入った左にある「鷗(カモメ)稲荷大善神」が出す小さな黒く塗られた札です。財布や手帳に入れて肌身離さず持ち歩くと御利益が有ると言われている。(住職談)
2月15日に能勢妙見堂で行われる「正中山大荒行僧出仕水行」 寒中に行われる荒行。
■道陸神(どうろくじん);道祖神。道路の悪霊を防いで行人を守護する神。江戸っ子は女房を卑下して「家の道陸神は・・・」と使うが、女房も負けずに「家の宿六は・・・」等と使います。
■金刀比羅様(こんぴらさま。ことひらさま);仏法の守護神のひとつ。もとガンジス河にすむ鰐(ワニ)が神格化されて、仏教に取り入れられたもの。蛇形で尾に宝玉を蔵するという。薬師十二神将の一つとしては宮毘羅(クビラ)大将または金毘羅童子にあたる。香川県の金刀比羅宮のこと。ここ金毘羅宮の参詣客のための乗合船があり、大坂などから丸亀・多度津の間を往来した。東京分社が、東京都文京区本郷一丁目5
水道橋駅下車徒歩3分位の所にある。
■天神様(てんじんさま);大宰府へ左遷された道真は失意のうちに没した。彼の死後、疫病がはやり、日照りが続き、また醍醐天皇の皇子が相次いで病死した。さらには清涼殿が落雷を受け多くの死傷者が出た(清涼殿落雷事件)。これらが道真の祟りだと恐れた朝廷は、道真の罪を赦すと共に贈位を行った。
清涼殿落雷の事件から道真の怨霊は雷神と結びつけられた。元々京都の北野の地には平安京の西北・天門の鎮めとして火雷天神という地主神が祀られており、朝廷はここに北野天満宮を建立して道真の祟りを鎮めようとした。道真が亡くなった太宰府にも墓所の地に安楽寺天満宮、のちの太宰府天満宮が建立された。また、949年には勅命により大阪天満宮(天満天神)が建立された。平安時代末期から鎌倉時代ごろには、怨霊として恐れられることは少くなった。江戸時代には、道真が生前優れた学者・歌人であったことから、天神は学問の神として信仰されるようになった。北野天満宮や太宰府天満宮からの勧請も盛んに行われた。天神(道真)を祀る神社は天満宮・天満神社・北野神社・菅原神社・天神社などという名称で、九州や西日本を中心に約一万社(岡田荘司らによれば3953社)あって分社の数は第3位です。
■お稲荷様(おいなりさま);稲荷神社(いなりじんじゃ)。京都市伏見区にある伏見稲荷大社が日本各所にある神道上の稲荷神社の総本社。朱い鳥居と、神使の白い狐がシンボルとなっている神社。稲荷神(稲荷大神、稲荷大明神)は、山城国稲荷山(伊奈利山)、すなわち現在の伏見稲荷大社に鎮座する神で、伏見稲荷大社から勧請されて全国の稲荷神社などで祀られる食物神・農業神・殖産興業神・商業神・屋敷神である。また神仏習合思想においては仏教における荼枳尼天(だきにてん)と同一視され、豊川稲荷を代表とする仏教寺院でも祀られる。
関東の総鎮守と言われる王子稲荷(北区王子岸町一丁目12。右写真)で、毎年行われる「王子の狐の行列」が有ります。 Web ブラウザ、Internet Explorer
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2.安産
「大名の出産」 黒崎修斎画 出産に臨んでは僧侶に加持祈祷を行わせ安産を願う。新生児は産着に包み、お付きの者が湯殿で産湯をつかわす。裏長屋でも大名でも、神信心で安産を願うドタバタは同じです。
人間の平均寿命・平均余命
3.言葉
■取り上げ婆さん;お産婆さん。助産婦。助産師=厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦もしくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子。看護師免許取得者が、助産師学校などの養成機関で1年以上の専門教育と実習(直接介助10件、間接介助5件が目安)を受け、それぞれの国家試験に合格すると、助産師の資格が与えられる。
■鳥居(とりい);神社の参道入口に立てて神域を示す一種の門。左右2本の柱の上に笠木をわたし、その下に柱を連結する貫(ヌキ)を入れたもの。伊勢神宮や鹿島神宮の神明鳥居を基本として、明神鳥居・山王鳥居・三輪鳥居・両部鳥居などがある。
■虫がかぶる;臨月になって産気づくこと。
毎回伺う浅草寺です。いつもは脇から入って本堂前に出るのですが、今回は修学旅行生や観光客に混じって正面の雷門から入ります。入ったところが仲見世商店街で、お土産屋さんや、アイスクリーム屋、お団子屋さん、江戸文化を伝えるような、扇子屋、江戸手ぬぐい、浮世絵、着物、等の商店が並んで、観光客を引きつけています。今回も脇から入れば良かったと反省しながら、流れに引っかかりながらやっと、仁王門(宝蔵門)まで行き着きました。くぐれば正面が浅草寺本堂です。本堂に入れば手前半分が石畳のお詣りスペース。その奥に畳敷きの中央に、御神輿の大きいような金ピカな御宮殿があり、内にはご秘仏本尊聖観世音菩薩、その前には慈覚大師作のお前立ご本尊が祀られていると言いますが、まだ見たことがありません。でも、話によると前立ち観音は、本尊に似せて作られた物だと言いますので、大きさは手に乗るような金無垢ではなく、高さ30cm位の木製だと思われます。その前立ち観音も文化庁で修復されていますが、本尊は・・・。
いえいえ、その話ではなく、粂野平内堂が目的です。先程くぐった宝蔵門の、雷門から来て右側の所に小さな御堂が有ります。粂野平内堂と書かれた幡がなければ、キョロキョロと探し回らなければならないぐらい小さな御堂で、何回か来ている境内ですが、初めてマジマジと見つめ直す私です。境内には色々な仏様や御堂や記念碑が多く存在し、全てを見ていたわけでは無いことが分かります。いわれを見ないとその意義も分かりませんが、私もひとつ勉強になりました。しかし、参拝者の大部分は見向きもせずに通過していきます。しょうがないでしょうね。
ここから、日本橋蛎殻町の水天宮に向かいます。しかし、本当にしかしです。私の女房や妹の妊娠中には御札をもらいに来たものですから、その所在地は良く分かっていますが、どこにもその神社がありません。工事中の看板に日本橋浜町二丁目30に移転していると知らせが入っています。その看板には、昭和42年に竣工された御宮ですが、大きな地震を想定していない旧耐震基準で建設されていたので、耐震性に難があり、また、参拝の中心である妊婦さんに待合環境が、夏季・冬季を中心に厳しいものがあり懸念されていました。江戸鎮座200年を迎える平成30年までに、免震構造の新社殿に生まれ変わるのを目的に工事に入っています。平成28年2月完成と表示されています。
能勢妙見堂に行きます。本所の表通りから入った所に有りますから、わざわざ来た人しか参拝していきません。江戸末期幕臣勝小吉が愛息麟太郎のちの海舟の怪我の治癒を水垢離をとって祈願した場所でもあります。寒の最中には水垢離の行がありますし、4月の15日には、境内に魔よけの御守として江戸時代より能勢の黒札として有名な鴎大善神もあります。
文京区本郷一丁目5の金比羅宮に行きます。JR水道橋で下りて都立工芸高校の裏にある能楽堂、その隣にあるのが金比羅宮東京分社。街中の小さな神社とみれば大きくは間違いないでしょう。良く言えばこじんまりとした境内には参道とお花や植栽がなされ自然の中の御宮さんという風情が伝わります。奥の本殿前から振り向くと、前のビルの肩越しに後楽園ドームホテルやドーム遊園地の遊具が見えます。
それぞれの写真をクリックすると大きな写真になります。
2014年7月記
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